重曹はベーキングパウダーの代用品としての使用も一般的ですが、ご家庭に掃除用の重曹しかない場合、料理には使用しない方が良いと考えられがちです。
実際に、掃除用の重曹を少量摂取しても直接的な健康被害は少ないですが、料理用としての使用は推奨されません。
この記事では、掃除用重曹が食用として適さない理由と、各種重曹の使用目的について詳しく解説します。
重曹の種類と純度
重曹は品質、製造過程、そして管理の仕方によって純度が異なり、大きく以下の三つのカテゴリーに分けられます:
- 掃除用
- 食用
- 医療用
特に純度が低めの掃除用重曹には不純物が多く含まれており、主に掃除目的で使われます。
各種類の主な用途は以下の通りです:
- 掃除用:油汚れの除去、臭いの消臭
- 食用:ベーキングパウダーの代替、肉の柔らか化
- 医療用:胃腸薬、痛風治療薬、洗眼剤の添加剤として
掃除用重曹の特徴
ホームセンターやドラッグストアで見かける掃除用重曹の純度は95~98%となっています。
このタイプの重曹は弱アルカリ性であり、油分や皮脂の汚れに対して強い洗浄力を発揮します。
粒子が粗いため、より強い洗浄力を得るための添加物が含まれている場合もあります。
食用重曹の性質
一方で、スーパーマーケットで販売されている食用重曹は、純度が98~99%と高く設定されています。
掃除用に比べると価格はやや高めですが、その汎用性から多くの家庭で推奨されています。
純度100%のものは医療用としても使用され、食用や掃除用としても安全です。
価格の比較
掃除用と食用重曹の価格を比較すると、以下のような違いがあります:
- 掃除用:100gあたり約30円
- 食用:100gあたり40~60円
一般に食用重曹の方が高価ですが、掃除用の中には食用以上に高い価格で販売されている商品もあります。
商品が食用かどうかは、パッケージに「食品添加物」と記載されているかで判断できます。
重曹の過剰摂取とその対処方法
重曹は苦味が特徴的であるため、通常、大量に摂取されることは少ないですが、もし大量に摂取してしまった場合には以下の対応をお勧めします。
摂取後は、生卵または1~2カップの牛乳を飲むことが推奨されます(牛乳がなければ水を同量飲むこと)。
もし嘔吐や下痢の症状が現れた場合は、迅速に医療機関を受診してください。
また、子供やペットの手の届かない場所に保管することが重要です。
重曹の効果的な使用方法と効果
ここでは、食用と掃除用の重曹の使用方法とその効果を紹介します。
掃除用重曹の使用方法と効果
重曹は弱アルカリ性を持ち、酸性の汚れや臭いに効果的です。
特に以下のような場所での使用が効果的です。
- キッチン:油汚れ、コンロ周り、排水溝のぬめり、茶渋
- お風呂:皮脂汚れ、石鹸カス
- トイレ、壁紙、フローリング:特有の汚れやヤニ
重曹は研磨効果もあるため、スポンジに付けて使用するとコーヒー汚れなどがきれいに除去できます。
また、重曹水をスプレーしてから約10分放置し、その後拭き取ることで汚れをより効果的に落とすことができます。
さらに、約60℃に温めた重曹水を使用すると、より強い洗浄効果が得られます。
重曹はまた、消臭効果もあり、下駄箱や靴、カーペット、車内の臭いの除去にも有効です。
除湿効果もあるため、クローゼット内に置いておくと湿気対策にもなります。
食用重曹の用途と効果
食用重曹、またの名を炭酸水素ナトリウムといい、食塩を電気分解して二酸化炭素を加えることで製造されます。
重曹水を飲むことにより便秘解消やダイエット支援、疲労回復に効果があります。
料理では、山菜のアク抜きや肉の柔らか化に利用され、胃痛や二日酔いの緩和にも効果的です。
苦味がありますが、蒸しパンなどの膨張剤として使用されることもあります。
重曹の利用時に押さえておくべき主要ポイント
重曹を使う際には、食用と掃除用とで留意すべき三つの重要なポイントが存在します。
掃除用と食用の適切な使い分け
掃除用重曹には、食用としては不向きな添加物が含まれていることがあります。
これらの添加物は消化不良や他の健康問題を引き起こす可能性があるため、食用の重曹が手元にない場合でも、掃除用を食用として使用することは避けるべきです。
食用重曹の塩分摂取に関する注意
食用重曹には自然に塩分が含まれていますが、これを過剰に摂取すると高血圧やむくみ、味覚の鈍化、動脈硬化などの健康問題を引き起こす可能性があります。
1日の摂取量は3グラムを超えないよう注意し、適量を守って利用しましょう。
掃除時に適さない素材の識別
掃除用重曹は研磨効果が強いため、不適切な素材に使用すると変色や傷を引き起こすことがあります。
特にアルミ製品、漆塗りの食器、デリケートな家具やフローリング、ワックス処理された床には使用を避けるべきです。
結論:目的に応じた重曹の選択を
重曹は掃除用、食用、医療用と目的に応じて分類されています。
掃除用重曹には洗浄力を高める添加物が含まれているため、食用としての使用は適していません。
一方で食用重曹はその多用途性から価格がやや高いものの、掃除と料理の両方で使用できるため、一家に一つあると非常に便利です。
掃除用重曹は油汚れやコゲ除去、皮脂汚れの清掃、酸性の臭い消臭に効果を発揮します。
食用重曹は便秘解消、疲労回復、胃の不快感緩和、食材のアク抜き、肉の柔らか化、ベーキングパウダーの代替など、幅広い効果が期待できます。